【レポート】SLOW MOVEMENT Showcase & Forum Vol.2 / ソーシャルサーカスワークショップ,

2018年2月4日、青山のスパイラルホールにて、SLOW MOVEMENT Showcase & Forum Vol.2を開催しました。

ゲストのフレデリック・ロワゼル氏の研究テーマでもある「ソーシャルサーカス」を通じたリハビリテーション事例に注目が集まりました。

フレデリック氏のサーカス教室では、ジャグリングなどサーカスで使う技術を学び、体を動かしながら、教室のメンバーと互いに信頼しあえる感覚を体感します。それにより参加者は、自分の感情をコントロールできるようになったり、自信や信頼を得て、より積極的に社会参画するようになって、中には仕事を始めた方もいるそうです。

こうした事例を、フレデリック氏は丁寧にデータをとり、研究することで、社会に伝え、広めていく役割を担っています。

来場者からは「勉強になった」、「文化芸術だけでない、何か出口が見つかったような気がした」と、期待に満ちた声をいただきました。

フレデリック氏は、SLOW MOVEMENT や SLOW LABELの取り組みにも非常に共感すると、期待のエールを送ってくださいました。今後もよい交流を続けていけたらと思います。

Showcaseでお披露目した、森田かずよさん、定行夏実さんのデュオパフォーマンスも、息をのむ美しさでした。そして、5時間の長丁場があっという間に感じられるほど、濃密で熱のある時間を、お越しいただいた多くの方々とご一緒できたこと、改めて感謝申し上げます。ご来場ありがとうございました!

当日の様子は下記の写真からご覧ください!

第1部 Showcase

森田かずよさん、定行夏海さんのデュオパフォーマンス『Onna Matsumushi (女松虫)』

第2部 Forum

フレデリック・ロワゼルさんによる事例紹介 『ソーシャルサーカスを通じたリハビリテーション』


鈴木京子(国際障害者交流センター ビッグ・アイ プロデューサー、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループ プロデューサー)さんによる国内事例紹介


栗栖良依(SLOW LABELディレクター、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループ プログラム・アドバイザー)による、2017年度のSLOW MOVEMENT活動報告

ディスカッション

フレデリック・ロワゼルさん


鈴木京子さん


佐々木雅幸(同志社大学教授、文化経済学者)さん


モデレーターを務めた栗栖良依

 

PROGRAM・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第1部 Showcase

■『Onna Matsumushi (女松虫)』
(アジア太平洋障害者芸術祭「TRUE COLOURS FESTIVAL」出品作品)
演出:金井ケイスケ
振付・衣装ディレクション:ソンシリー・ジャイルズ
出演:森田かずよ、定行夏海
衣裳制作:武田久美子 メイクデザイン:石原桃子 音楽:ジェローム・バウアー
プロデュース:栗栖良依(SLOW LABELディレクター、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループ プログラム・アドバイザー)

*本作は、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS による事業の一環として制作され、2018 年3 月23~25 日にシンガポールで開催されるアジア太平洋障害者芸術祭「TRUE COLOURS FESTIVAL」にて上演します。

第2部 Forum
サーカスを体験することで人々の可能性を引き出す「ソーシャル・サーカス」の世界を紹介。多様な分野の専門家らと2020年以降に実現すべき、よりインクルーシブな社会とは何かを議論します。

■海外事例紹介
『ソーシャルサーカスを通じたリハビリテーション』
プレゼンター:フレデリック・ロワゼル

プロフィール
作業療法士。クリニカルイノベーター。シルク・ドゥ・ソレイユが開発したマイノリティの社会参画を支援するためのソーシャルサーカスプログラム「シルク・ドゥ・モンド」を、障害者のリハビリテーションに取り入れ、医学的、科学的に研究するというテーマでモントリオール大学医学部の修士号を取得し、国際的な評価を受ける。現在は、ソーシャルサーカスを取り入れたリハビリテーションを世界中に広める活動を行なっている他、サイエンスコミュニケーターやジャーナリストとして20年以上に渡ってメディアを通じて健康と科学を伝える活動をしている。

■国内の状況共有
障害者舞台芸術にまつわる前年度からの変化や動きについて、またSLOW MOVEMENTが今年度行ってきた活動報告についてのプレゼンテーション。

プレゼンター:鈴木京子(国際障害者交流センター ビッグ・アイ プロデューサー、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS パフォーミングアーツ・グループ プロデューサー)、栗栖良依

■ディスカッション
登壇者:フレデリック・ロワゼル、鈴木京子、佐々木雅幸(同志社大学教授、文化経済学者)
モデレーター:栗栖良依

主催 : スロームーブメント実行委員会
共催 : 港区(平成29年度港区文化プログラム連携事業)
一般財団法人日本財団DIVERSITY IN THE ARTS
協力 : シルク・ドゥ・ソレイユ、シルク・ドゥ・モンド
スパイラル/株式会社ワコールアートセンター、特定非営利活動法人スローレーベル
モントリオール島中南部地区大学健康社会福祉センター(CIUSSS)
モントリオールリハビリテーション学際研究センター(CRIR)
後援 : ケベック州政府在日事務所、厚生労働省
認定 : beyond2020プログラム

 

SLOW MOVEMENT Showcase & Forum Vol.2 前日には、フレデリック・ロワゼルによるソーシャルサーカスワークショップを行いました。その様子も写真と動画でご覧ください!


実際のワークショップを行う前には、障害者パフォーマンスの支援人材のためのレクチャーを行いました。


参加者を迎えて行うワークショップを実際に試してみます。


輪になったロープを持ち、支え合いながら体重をかけて引っ張ることで、互いへの信頼感が得られることを支援者が実感。


体育館に場所を移し、参加者を迎えて実際のワークショップをスタート。


サーカスアーティストの金井ケイスケさんも、それぞれ好きな道具を手にした参加者にコツを伝授。


こちらは参加者全員で取り組むワーク。各々が持つロープの中央にはリングの上に小さなボールが乗っています。


皆で協力して、靴に刺さった棒にリングを通し、棒の上にボールを載せることにトライ。見事成功しました!


最後はシルク・ドゥ・ソレイユからプレゼントでいただいたピエロの鼻をつけて記念撮影。ちょっと真面目な顔をしています。


フレデリックさんの合図で、めいいっぱい弾けた顔をした参加者。2時間のワークショップがあっという間でした。

動画はこちら

フレデリックさんには、シルク・ドゥ・ソレイユのアンバサダーとして、シルク・ドゥ・ソレイユのマイノリティー社会参画支援事業「シルク・ドゥ・モンド」の活動やメソッド、そしてソーシャルサーカスの効果や具体的なノウハウまで、限られた時間で沢山のことを教えていただきました。ワークショップ後には、支援者人材とフレデリックさんで振り返りを行い、それぞれの感じたところが話し合い、この経験を次につなげようとする熱い思いをそれぞれが抱いているのがよくわかりました。