【インタビュー】望月茂徳,

SLOW MOVEMENT参加アーティスト紹介
パフォーマンス内に登場する、音を奏でる車椅子のインタラクティブメディアを開発した
メディアアーティストの望月茂徳さんです。

望月茂徳 もちづき・しげのり(メディアアーティスト・立命館大学映像学部准教授 / インタラクティブメディア)

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◎望月さんへ、スロームーブメントについて5つの質問

 

Q1:「スロームーブメント」プロジェクトについて
お話を最初に聞いた時には、どういう印象を抱きましたか?

障害や老いという問題を、ICTや電子技術によって
アートやエンターテイメンに変換することに携わってきたこれまでの経験を
活かせる機会を頂けたことを大変うれしく感じました。

それと同時に、沢山のパフォーマーやクリエイターと関わることができ、
これからを新たに考えることのできる場であることだと思い、
とても興奮しました。

Q2:プロジェクトの作品制作をする上で、
大切にしていることや工夫していることはなんですか?

このプロジェクトでは大変多くの人が関わっている
コラボレーションであることをとても大切にしています。
出会いによって変わっていくこと、主張と傾聴の掛け算が
ゆっくりとしかし大きなムーブメントになるように、と理解して参加しています。

私の作るものは、機械的な仕掛けのある、制作のプロセスとしては
複雑なものですが、観客のみなさんも含めて、何が起きているのか
直感的に把握しやすいものでありたいと思いますし、
その結果として、こんなこともできる?あんなこともできる?
という投げかけを頂ければ、と願っています。

 

Q3:作品制作をおこなっているなかで
一番印象に残ってたことを教えてください。

三角みづ紀さんの詩を軸に、パフォーマーやクリエイターが
それぞれの立場で解釈し、アウトプットしようとしている姿が印象的です。

しかも、それぞれが自律的であるだけでなく、
融合しようとする意識もあわせ持つこと。言葉でいうことは簡単ですが、
実際はなかなか難しいことだと思います。
みなさんがどうしてそのようなことができる人たちなのか、
実は知りたいと思っています。

 

Q4:まもなくプロジェクトのパフォーマンスが初演されますが、ご自身が楽しみにしている見所などを、このページをご覧になっている皆さんに向けてこっそり先に教えてください!

今回、スロームーブメントのパフォーマンスに向けて、
屋内・屋外を問わず、より自由な空間でも作動するように、
車椅子DJのインタラクティブ・システムをイチからプログラミングし直しました。

また、ヤマハの&Yに搭載されたTLFスピーカーに合うように、
音楽の坂東美佳さんと音響の中原楽さんと一緒に細かな調整を行いましたので、
ぜひ注目していただきたいです。

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先端技術はこのプロジェクトの特徴のひとつですが、
「役に立つ」「効率性」だけではなく、人々が「豊かである」ための技術とはなにか、
パフォーマンスを通した向こう側に見えるといいなあと思っています。

Q5:最後の質問です。「スロームーブメント」の大きなテーマの1つは“旅”ですが、ご自身にとっての”旅“とはなんですか?

旅の上手な人がうらやましいです。
身軽で、好奇心のおもむくまま冒険し、出会いを楽しみ、どこでもぐっすり眠れる人。
色んなところに行きましたが、そんな風にはできなかったように思います。
それでも、ここではないどこかへ、と思わずにいられないこと。
それが私にとっての旅です。

 

[プロフィール]

望月茂徳 もちづき・しげのり(メディアアーティスト・立命館大学映像学部准教授 / インタラクティブメディア)

ヒューマンインターフェイルやインタラクティブ映像技術に「うきうき」「わくわく」「ちょっとヘン」のスパイスを加えて、身の回りの「ふつう」を「あそび」や「はっけん」に帰るようなメディアアート/インタラクティブメディアを専門分野とする。また、『劇団ティクバ+循環プロジェクト』(KYOTO EXPERIMENT2012)における舞台美術『車椅子DJ』の制作や高齢者施設におけるインタラクティブメディア開発など、デジタルアート/エンターテイメント技術を用いた生存学研究も行っている。筑波大学院システム情報工学研究科単位取得。博士(工学)。独立行政法人情報処理推進機構より「天才プログラマー/スーパークリエータ」認定。
公式サイト:http://mochizukiss.jp/

 

ありがとうございました!